北上(一)

妻は家に
わたしは北へと遠い旅に出る
心を残して
彼女の呟きを背負って
遠くへ行くほど
彼女をより近く感じる
彼女を想うほど
彼女の顔がおぼろげになってゆく
北方の夜はとても寒くて
月は彼女のひとみ
一羽の雁が目の前を飛んでゆく
それは彼女のひとみの中のわたしの影
風が吹き出した
山一面の木の葉が激しく揺り動く
彼女の手紙を受け取った
黙って、この朝の黎明を心に
彼女の呟きを背負って
わたしはまっすぐ北へゆく
わたしは知っている。前進して
やっと彼女と巡り逢える

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